故人通話プラン《3話》1話からお読みください
ベンチに座って缶コーヒーを一気に飲み干し、
ケータイの画面を開いた。
ものは試しだ。
やってみよう。
僕は大学時代、バスケで一緒だったTの番号をコールした。
彼は二年前に亡くなっている。
((トゥルルル))
『もしもし、電話来るの待ってたよ。』
僕は自分の耳を疑った。
『本当に、本当にTなのか!』
『何言ってんだよ、お前からかけといてさ~。』
『まさか本当に繋がるとは....』
『そういえばアイツどうしてる?、何てったっけな...ほら190cmある、階段屋みてぇな名前の~』
多分ポイントゲッターだった二階堂の事だ。
どうやらこれはホンモノだぞ....。
『ゴメンな。
仕事の途中にかけてしまったんだ。
またあとでかけるよ。』
ここからだと会社よりもアパートの方が近い。
今日はこのまま帰って休もう。
何だか疲れている。
帰ってからまたTに電話をかけてみよう。
アパートに着いた頃にはもう薄暗くなっていた。
僕は鉄製の階段を登って1DKの自分の部屋に入った。
信じられない光景が。
部屋はもぬけのカラだ!
荷物が何も無い!
ガラステーブルや
パソコン、
テレビも、
冷蔵庫も、
押し入れの中の布団も、
昨日飲んだビールの空き缶も....
外に出て部屋番号を確かめると、確かに僕の部屋だ。
あの店員...
真っ黒なスーツを着た店員。
あの異常な対応の早さ..
そういえばあの時の事故
たむけられた花.....。
そうだ!Tなら何か知ってるかもしれない。
『おい、T!どうなっているんだ?教えてくれ!』
『んだよ、でかい声出すなよ~。
まあ、明日会えるじゃん。
明日ゆっくり話そうぜ。』
『明日...?』
『明日はお前の四十九日だろが。』
あ な た の ケ ー タ イ
大 丈 夫 で す か
~END~
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