故人通話プラン《3話》1話からお読みください

Studio West

2010年08月22日 03:27

ベンチに座って缶コーヒーを一気に飲み干し、
ケータイの画面を開いた。

ものは試しだ。
やってみよう。

僕は大学時代、バスケで一緒だったTの番号をコールした。

彼は二年前に亡くなっている。

((トゥルルル))

『もしもし、電話来るの待ってたよ。』


僕は自分の耳を疑った。

『本当に、本当にTなのか!』

『何言ってんだよ、お前からかけといてさ~。』

『まさか本当に繋がるとは....』

『そういえばアイツどうしてる?、何てったっけな...ほら190cmある、階段屋みてぇな名前の~』

多分ポイントゲッターだった二階堂の事だ。
どうやらこれはホンモノだぞ....。

『ゴメンな。
仕事の途中にかけてしまったんだ。
またあとでかけるよ。』

ここからだと会社よりもアパートの方が近い。
今日はこのまま帰って休もう。

何だか疲れている。
帰ってからまたTに電話をかけてみよう。

アパートに着いた頃にはもう薄暗くなっていた。

僕は鉄製の階段を登って1DKの自分の部屋に入った。

信じられない光景が。
部屋はもぬけのカラだ!
荷物が何も無い!

ガラステーブルや
パソコン、
テレビも、
冷蔵庫も、
押し入れの中の布団も、
昨日飲んだビールの空き缶も....

外に出て部屋番号を確かめると、確かに僕の部屋だ。

あの店員...

真っ黒なスーツを着た店員。

あの異常な対応の早さ..

そういえばあの時の事故

たむけられた花.....。

そうだ!Tなら何か知ってるかもしれない。

『おい、T!どうなっているんだ?教えてくれ!』

『んだよ、でかい声出すなよ~。
まあ、明日会えるじゃん。
明日ゆっくり話そうぜ。』

『明日...?』


『明日はお前の四十九日だろが。』




あ な た の ケ ー タ イ





大 丈 夫 で す か


   ~END~

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