タクシーの女【2】
『あら?
あなたの望みを叶えてあげようと思ってるのに。』
『望みを...?』
『あなたさっき、死にたいっておっしゃったわ。
私も今日の乗務が終わったら、この車と一緒に死ぬつもりなの。』
『バカな!やめろ!』
『でも予定を少し早めるわね。』
タクシーは鉄パイプで組み上げられた柵を跳ね飛ばし、グングンとスピードを上げた。
『結構スピード出るのね!
気持ち良いわ!』
『おい!その橋は未完成だ!
道はないぞ!』
満月の空に一台のタクシーが艶やかに舞った。
『生きていたって道は無いわ!』
~END~
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